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上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展

フランチェスカ・レオーネ・モリモトが今の宇宙のエナジーにチューニングできるアート&スポットをご紹介。今回は三菱一号館美術館の『上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー』です。主任学芸員の阿佐美淑子さんにお話を伺いました。

三菱一号館美術館

今回お邪魔する三菱一号館美術館は、赤煉瓦の西洋建築と中庭の緑のコントラストが美しい東京・丸の内の憩いの場。1894年に英国人建築家ジョサイア・コンドルが設計して建てられた「三菱一号館」を忠実に復元しているため、館内に入ると時間軸が変わります。
上野リチ・リックス《プリント服地[野菜]》1955年頃[再製作:1987年] 京都国立近代美術館上野リチ・リックス《プリント服地[野菜]》1955年頃[再製作:1987年] 京都国立近代美術館
フランチェスカ
わぁ、可愛い!カラフルで弾むような布。ギュッと詰まった果物や野菜たちの楽しいおしゃべりが聞こえてきそう。作者の上野リチ・リックスさんは……え、19世紀末生まれ?
阿佐美さん
今見ても、全く古く感じませんよね。彼女は19世紀末のウィーンで生まれ、後に先鋭的なデザインで知られた「ウィーン工房」の人気デザイナー、フェリーツェ・リックス(後の上野リチ・リックス)です。リチは名門のウィーン工芸学校で建築家・デザイナーのヨーゼフ・ホフマンに学び、たちまち頭角を現しましたが、ホフマンの建築事務所に来ていた日本人建築家・上野伊三郎と恋に落ち、結婚して来日。33歳の時に京都に移り住みました。その後もウィーンと日本を行き来しながら、晩年までデザイナーとして、教育者として、精力的に活動したんですよ。
上野リチ・リックス《ウィーン工房テキスタイル・デザイン:夏の風》1922年 クーパー・ヒューイット スミソニアン・デザイン・ミュージアム、ニューヨーク Museum Purchase from Smithsonian Collections Acquisition and Decorative Arts Association Acquisition Funds. Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum, Smithsonian Institution. Photo credit: Matt Flynn © Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum上野リチ・リックス《ウィーン工房テキスタイル・デザイン:夏の風》1922年 クーパー・ヒューイット スミソニアン・デザイン・ミュージアム、ニューヨーク Museum Purchase from Smithsonian Collections Acquisition and Decorative Arts Association Acquisition Funds. Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum, Smithsonian Institution. Photo credit: Matt Flynn © Cooper Hewitt, Smithsonian Design Museum
フランチェスカ
まるで朝ドラみたいな展開ですね。年表を見ると、来日後もウィーン工房のデザイナーとして作品を発表しながら、京都市染織試験場や群馬県工芸所で仕事。第二次世界大戦中には夫の帯同で、満州でも暮らす……と。世の中が暗く、特に欧米人は居づらい時代をくぐり抜けきたのに、作品には暗さが全く感じられません。いつの時代の作品もスカッとしてます。
阿佐美さん
ええ、本当に明るくて可愛い。戦時下の日本で辛いこともあったと思いますが、彼女は、世界的なデザイナーということで求められたり、自分から伝統工芸の工房に出入りしたりして、時勢に関係なく、かなりアクティブに仕事をしています。
また、興味の対象や表現スタイルがだんだん変わっていく多くの画家とは異なり、表現がブレませんでした。
20代後半に描いたものも50代の作品も、見分けがつかないほどなんです。表現に悩んだ形跡もなく、むしろ溢れ出るようにイメージが湧いてくる人だったのではないかと思います。
上野リチ・リックス《イースター用ボンボン容れのデザイン(2)》1925-35年頃 京都国立近代美術館上野リチ・リックス《イースター用ボンボン容れのデザイン(2)》1925-35年頃 京都国立近代美術館
上野リチ・リックス《マッチ箱カバー[淑女2]》1950年頃 京都国立近代美術館上野リチ・リックス《マッチ箱カバー[淑女2]》1950年頃 京都国立近代美術館
フランチェスカ
なるほど。実は星から見たリチさんは永遠のティーンエイジャーで、少女の頃の感性や好奇心を一生、持ち続ける稀有なタイプです――作風が変わらないのはそのせい? また、研ぎ澄まされた感受性の持ち主で、天上の音楽的な素晴らしいインスピレーションを、そのまんま表現する才があります。好奇心旺盛なファンタジーの魔術師ですね。
魚座で木星と海王星が並ぶ2022年春は、感受性や想像力が最高に高まり、夢見る力が花開いていく時なんですが、リチさんはまさにそれを体現していた方ではないかと。
阿佐美さん
まあ、星にもそういう傾向が出ているのですか。
「ファンタジー」はリチの最要なキーワードです。ドイツ語だと想像力という意味があるんですけど、彼女は自分が指導する学生たちに「デザインをする際は、ファンタジーを大切にしなさい」と繰り返し説いていたと聞いています。とにかくオリジナリティ重視で、人の影響が感じられる作品は、遠慮なくバリバリ破いてしまったとか(笑)。
上野リチ・リックス《プリント服地デザイン:ボンボン(2)》1925-35年頃 京都国立近代美術館上野リチ・リックス《プリント服地デザイン:ボンボン(2)》1925-35年頃 京都国立近代美術館
フランチェスカ
そこもブレない(笑)。ところで阿佐美さん、彼女の最大の魅力は何だと思われますか?
阿佐美さん
線と色です。身体の動きを利用した自由な描線と、天才的な色の選択、そして両者を完璧な形で組み合わせる能力が素晴らしいです。天才です。上の『ボンボン(2)』をご覧ください。
フランチェスカ
確かに線の揺らぎも含め魅力的。目に心地よいです。
上野リチ・リックス《ウィーン工房テキスタイル・デザイン:苔の花》1924年 豊田市美術館<br>【展示期間:4月13日~5月15日】上野リチ・リックス《ウィーン工房テキスタイル・デザイン:苔の花》1924年 豊田市美術館
【展示期間:4月13日~5月15日】
阿佐美さん
線が自由すぎて、テキスタイルのトレース職人泣かせだったと言われていますけど、本人の身体というか熱量が感じられる生なデザイン画が、私は一番の魅力だと思います。
そんな天才デザイナー・上野リチは、夫の伊三郎にとっても最大の推しで自慢の妻だった模様。本展会場には誇らしげに妻と並ぶ記念写真や夫婦の共作もあり、視覚的にも情緒的にもトキメキたっぷり。めくるめく色と線のダンスをご堪能下さい。
この方にお話を聞きました
阿佐美 淑子さん
三菱一号館美術館 主任学芸員
展示会情報
「ポートレート:上野リチ・リックス」1930年代 京都国立近代美術館「ポートレート:上野リチ・リックス」1930年代 京都国立近代美術館
上野リチ
『ウィーンからきたデザイン・ファンタジー展』
開催期間 2022年5月15日(日)まで
会場 三菱一号館美術館 千代田区丸の内2-6-2
観覧料金 一般1,900円(事前予約有)
公式サイト http://mimt.jp/
開館時間 10:00〜18:00
※⼊館は閉館の30分前まで
(祝⽇を除く⾦曜と会期最終週平⽇、第2⽔曜⽇、開館記念⽇の4⽉6⽇は21:00まで)
休館日 月曜日(3⽉21⽇、3月28日、4月25日、5⽉2⽇、5⽉9⽇は開館)、展示替えの4⽉12⽇
20世紀初頭のウィーンで、ウィーン工房のヨーゼフ・ホフマンに師事して才能を開花させ、自然のモチーフを組み合わせた生命感あふれるデザインを数多く生み出したフェリーツェ・リックス(後の上野リチ・リックス)。上野伊三郎と結婚後、日本とウィーンを拠点に幅広く活動を続けた彼女の世界初回顧展。
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